初めての転職を考える時期はいつがよい?(前編)

7 初めての転職を考える時期はいつがよい?

 

まず、「初めての転職を考える時期について、いつがいいですか?」 

これは特に若い20代から30代前半の候補者の皆様からもよく質問をうけることです。生涯にわたるキャリア構築のなかで、最初の転職は大きな転機です。

 

もう少し深くきりこみますと、この質問は以下の3種類に分類することができます。

 

A「いつくらいが一番転職するのにいい時期、タイミング(有利)ですか?」

B大きくキャリアを変えるなら何歳までが制限(リミット)でしょうか?」

C採用が沢山ある時期はありますか?」(それが短期的なシーズナリティを意味するのか、あるいは数年単位を意味するのかの違いもあり)

 

実のところ、転職に良い時期というのは、個人によって、タイミングや時期、ご縁、は仕事の流れだけからではなく、個人的なイベントや家族の事情などにも大きく左右されるため、千差万別で、これは絶対あり得ないとか、これをやれば絶対うまくいくという法則は存在しません。それではアドバイスにならないではないか、といわれてしまいそうなので(笑)、こういうことを念頭に考えてみるといいですよ、という、転職の際認識しておくべきメリットとリスクの両面、そして、ケース的には過去こういうケースもありますというお話をしたいと思います。これらはご自身のケースにあてはめる際に参考にして頂く役立つ材料になると思います。

  

A最初に転職する時期、タイミング

私の候補者様の多くが大学もしくは理系のかたの一部は大学院を卒業してから、社会人として就職していますので、そのような前提として考えていきたいと思います。

 

25歳ころ 石の上にも3年といいますが、やはり3年というのが働きつづけるひとつの目安になります。このころまでにすでに何か違和感を感じ続けていたり、当初希望していた業界ではないところに就職したので方向を変えたいというかた、大きなチェンジの舵をきりたいかたの1度目のチャンスです。

この年齢はすでに限られた若手層という意味合いのなかですが、同業に転職する場合は「即戦力」です。同業でない場合でも「社会人、プロフェッショナル」として即戦力です。

そして、まだ伸びしろがあり、柔軟性が高く、ひとつの企業の色に」染まりきっていないこと、ということは新しい会社にとってはプラスです。そして、給与もまだ高くないので、人件費を考えても採用側の金銭的投資リスクが低めでおさえられるという企業側のメリットもあるのです。このため、この年齢は、比較的多くの選択肢があることが特徴です。自分の方向性を変えたい、今の会社のカルチャーとどうしても会わないのでもう少し幸せに仕事をしたいというようなかたは、新卒3年後というのをひとつの目安となります。大学卒業で25歳くらい、院卒ですと27歳ころのかたたちです。

 

それからあえて、付け加えておきますと、1-2年で転職されるかたもいます。このことについては、もしそれが大きく舵をきる第二新卒採用という、社会人としての基礎訓練はうけているが、まだまだこれからのポテンシャル採用色が強く、新卒に少し色がついた候補を狙っている場合には、大きくキャリアを変更したり、ここは絶対間違ったと思った会社に入ってしまったかたには、ひとつのチャンスとしとらえられます。

ただ気を付けておかなくてはならないことが2点あります。それは、1.必ず次の転職先は3年以上勤務する:最初に働いた企業をとても短期間でやめることは、JOBHOPPERかな?と思われるリスクを大変高い割合で上げます。これが履歴書の一番最初の部分に一生のるのですからインパクトはとても大きいのです。ですのでこの転職のリスクは非常に高いことが特徴です。そのために、3年以上働ける会社か厳しくチェックします。業績的に絶対次の3年は大丈夫そうで働きつづけられるところか、人と合うか、自分のやりたいこととぶれていないか(そこまで関心が高くないのに高いリスクをとるのはリスクに見合わない投資になります)など、しっかり見極めることが不可欠です。

2つめは、3年後再度、方向性が変わった時、どうするか? どんな選択肢があり得るのかも視野にいれておく

1度目の転職が早かったため、2つめの会社で3年でまた変わりたいとなったときに、ひとつめの会社で3年やっていたかたよりも、選択肢が狭まります。つまり4年内に3社目をさがすという時点でダメと書類選考で落としてくる会社もいまだにあるということです。だから、転職するなといっているのではありません(例えば1社目がブラック企業だったりしたらやめる選択も現実的です)。ただ、もしあと3年でやめることになったらその後に自分にはどんなオプションがあるだろうか?どんなスキルをそれまでにつけられていて、どういう会社だったらいけるだろうか? そういう視点でしっかり考えたうえで、転職の意志決定や、転職先を選ぶのが賢明です。それを全く考えないで、特に景気のよいときは新卒採用で採用しきれなかった企業が第二新卒採用を活発化させますので若いから引く手あまたと思ってうかれて、簡単に決めたりすると3年後、4年後、転職迷子、20代ですでにさまよってしまうということになりかねないのです。気を付けて!ください。

 

26歳以降29歳~31歳くらいまで 

この年代は今の日本で一番転職する際に選択肢が多い年代でしょう。

かなり即戦力もついてきて選択肢も多い傾向です。これが一生続くと勘違いするかたがあるのですが、誤解しないでください。これは日本の多くの企業がいまだに年功序列から完全に抜け出せていない、実力主義にシフトできていないことの表れでもあるのです。また、年功序列が消えていないから、組織にしがみつくひともいまだに多くの割合がいて(もちろんここ20-30年の間に大手企業手も破綻する、買収されるなどで強制的に追い出されるケースはどんどん増えていますが)そのことは人材流動性を低くしているため、33から35歳以降には選択肢の数が減っていくのが一般的です。もちろん、30代後半になれば専門性が明らかになってきますので、専門性を求められる求人が増え、結果として、機会数は減るということになります。これは必ずしも悪いことではなく、クオリティのよい仕事に就けるよう専門性や実務経験、知識を磨いておけばよいわけです。

 

上記の2通りが一般的に転職しやすく、そして、また、一度ここで転職を経験し、異なる組織にとびこんであわせていく柔軟性を養っておくと、その後の転職にも耐えられるメンタル、考え方の柔軟性が養われる、新しい知識と経験を身に着け、技能が身につく。視野が広がる、などのメリットがある時期です。

 

長くなりましたので、B以降の続きは次回に、後編として書きます。